トッパンホール ニューイヤーコンサート 2016に行ってきました。
ホールはもちろんトッパンホールでした。
出演は
Vn 山根一陣仁・瀧村依里
Va 原麻理子
Vc 上野通明
P 島田彩乃・北村朋幹
プログラムは
ショスタコーヴィチ ピアノ三重奏曲第2番
ヤナーチェック 弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」
ブラームス ピアノ五重奏曲
アンコールはありませんでした。
先ず感じたのは、「ニューイヤーコンサート」の定義って何?、でした。
プログラムを見る限り、新春らしさはもちろん、明るい曲が1曲もありません。
友人の死を悼む曲から始まりメインは短調です。
決して、ヨハン・シュトラウスをやれ、と言っているわけではありません。
このプログラムなら「ニューイヤーコンサート」と銘打つなと言いたいだけです。
新年の最初にやればなんでもニューイヤーコンサートなんだ、と言われればそれまでですがニューイヤーという以上は清新さや爽やかさ溌剌としたがイメージできるプログラムにして欲しいと思います。
今日について言えば、「ニューイヤーコンサート」と銘打つな!、と言いたいです。
今日のコンサート、発売して間もなくSold outでした。
行くつもりだったのに、と残念な気持ちでいたら、出演者の原さんのお母様からチラシが送られてきたので「Sold outでは?」と聞いたらチケットを準備して頂けました。
諦めていただけにとても嬉しかったです。
実力ある若手が揃えば「ニューイヤーコンサート」などと客寄せめいたタイトルを付けなくてもチケットは売れるってことですね。
先ずは1曲目。
大楽章の途中で山根さんの弦が切れてしまったようです。
どこで切れたのか全く気が付きませんでしたが第1楽章が終わったところで3人がお辞儀をしてステージを降りてしまいました。
しばらくして再登場すると再び第1楽章から演奏を始めました。
その影響で終演が9時半でしたしアンコールも無くなったんだと思います。
オケのコンサートでVnの弦が切れ火事の時のバケツリレーのように後ろの席の人とVnを替えっこして一番後ろの席の奏者が弦を張り替えに行ったのを2回見たことがあります。
室内楽で弦が切れたのは初めて見ました。
新年最初のコンサートで初物、縁起がいいかもしれません。
メインのブラームスのピアノ五重奏曲、2014年8月に同じホール同じメンバーでの再演でした。
脈絡のない寄せ集めのメンバーが同じホールで同じ曲を再演するってとっても珍しいことだと思います。
それだけ最初の演奏が好評だったということですね。
2014年の演奏にも勝るとも劣らない好演でした。
5人の息がピタリと合って、若き日のブラームスの作品を、生き生きと溌剌とした演奏で聴かせてくれました。
渋味や重厚感には欠けるかもしれませんがブラームスだからと言ってくすんだ色合いじゃなくても良いと思います。
若い5人の演奏ですから明るいパステルカラーのブラームスも大いにありだと思います。
第1楽章の終わったところでホールの後ろのほうに座っていた年配の男性が帰り始めました。
楽章のインターバルに階段をゆっくりと降りながら出口に向かいます。
曲の途中で帰る方って、演奏が不満で決然として帰る方や終電の時間が迫っていて急いで帰る方でゆっくりと帰る方は少ないです。
ご年配の男性、階段の最後の段を降りる直前、ステージに向かって音がしないように小さく拍手をしました。
ステージからそれを見ていた原さんが微笑んだように見えました。
ただステージから客席は見えづらいので勘違いかもしれません。
メインの曲の前には20分間休憩があり、後半が始まってすぐに帰らなきゃならなかった年配の男性、きっと1楽章だけでもいいから聴きたかったんでしょうね。
さもなきゃ前半が終わった時点でホールを後にすると思います。
曲の途中でホールを出ることは演奏者に失礼だし他の観客の迷惑にもなります。
それを承知で1楽章だけでも聴きたかった気持ち小さな拍手に現れていたと思います。
あの拍手のおかげで少しも嫌な気持ちを感じることなく見送ることが出来ました。
気持ちって大事ですね。
今年最初のコンサート、とても暖かい気持ちにさせてもらったコンサートでした。