ミヒャエル・ザンデルリング指揮、NHK交響楽団のコンサートに行ってきました。
ホールはサントリーホールでした。
プログラムは
シューマン ピアノ協奏曲(ソロ ベルトラン・シャマユ)
ブルックナー 交響曲第4番「ロマンチック」(ハース版)
アンコールはピアノソロでメンデルスゾーンの「歌の翼に」でした。
土曜日にフェドセーエフで聴いたN響、今日はどんな音だろうと楽しみでした。
結論から言うと、こんなに違う?、と驚きました。
今日は配置が対抗配置で1stVn・Vc・Va2ndVnの順で、Cbは下手1stVn後方でした。
クラシカルタイプのティンパニを使っていました。
音の違いは配置の違いもあると思いますし、ホール、席も関係するとは思います。
今日のコンマスは伊藤亮太郎さんでN響デビューコンサートでしたのでコンマスの違いも大きいと思います。
しかし基本的には指揮者のコントロールの違いだと思います。
ブルックナーらしくない「ロマンチック」でした。
どちらかというとマーラーっぽい響かせ方をしていたように思います。
テンポは遅めでした。
ブルックナーというと、教会の響きを念頭に各楽器の音が入り混じり混沌とした響きの世界観を作り出す演奏が主流でした。
ブルックナーは教会オルガン奏者ですから当然のアプローチだと思います。
しかしザンデルリングは固定観念を持たずに純粋な交響曲として演奏していました。
各パートをそれぞれ独立させて相互に鑑賞しあわないような響かせ方です。
ある意味機能的な響きで曲全体を俯瞰しながら内声部も含めて各パートを良く響かせながらバランスをとりながらしかして独立して響かせながら、各パートを一つの独立したパーツとしてバラバラを組み合わせながら音楽を作っていました。
各パートはお互いに密接に絡みますが、それはセパレートされた一つのパーツとしてであり、絡み合いの中で一体となることはありませんでした。
僕としては機能的なブルックナーは大歓迎です。
変に主題のぼやけた明快サインかける響きよりは個々がそれぞれに響き尊重し合う演奏でありとても好もしい演奏でした。
オープニングのシューマン、登場するザンデルリングにビックリ。
スラリと背が高いんです。
今までに聴いた指揮者の中で一番背が高いと思います。
2mあるかも、と思いながら聴いていました。
ピアノソロはオケと今ひとつ呼吸が合っていませんでした。
ピアニストが目指すシューマンの世界とザンデルリングが目指すシューマンの世界が一致しないがために演奏全体がぎこちなく、歯車の噛み合わない面白みに欠けるコンチェルトでした。
決して下手なピアニストでないことはアンコールを聴いてよくわかりました。
しかし、コンチェルトでは残念ながらとっても下手でテクニックのないピアニストに聴こえました。
ザンデルリングは過密スケジュールを縫っての来日ですから意思疎通を取る時間もなくオケと合わせる時間も限られていたのだと思います。
ロシア的な重低音から機能的な近代的な音色への変化、N響の変貌がとても興味深かったコンサートでした。