別府アルゲリッチ音楽祭に行ってきました。
指揮は高関健、オケは紀尾井シンフォニエッタ、ホールはいいちこホールでした。
今年で17回目の別府アルゲリッチ音楽祭、初めて聴きに行きました。
2人目のご主人デュトワとの競演してラヴェルのコンチェルトを弾いた第3回はチケットを手配していたのですが仕事の都合で聴きに行けませんでした。
第5回のパッパーノとの競演のシューマンでリベンジと思ったのですがそれも果たせず気が付けば10年以上が経過してしまいました。
プログラムは
エルガー 弦楽セレナード
ベートヴェン ピアノ協奏曲第2番
モーツァルト 交響曲第40番(初稿 クラリネット無し)
アンコールはピアノソロでシューマンの幻想小曲集から第7番「夢のもつれ」でした。
オケのアンコールもあったのかもしれませんが飛行機の時間の関係があり40番終演後高関さんが袖に引っんだタイミングで席を立ちました。
東京のコンサートでも演奏終了後アンコールを待たずに帰る方がいらっしゃいますがその方達の心境が初めて理解できました。(^^;
アルゲリッチの演奏、70歳を超えているとは思えない見事な演奏でした。
5年前に新日本フィルとの共演でショパンとラヴェルのコンチェルトを聴いた時と変わらぬ奔放さ、闊達さ、自由にピアノを操りながら、自由にオケを操り観客を引き込んでゆきます。
お見事の一言に尽きます。
ベートーヴェンの2番、序奏をたっぷりととった古典的な作りのコンチェルトでオケが主導権を取ることも少なくありません。
紀尾井シンフォニエッタも最初のエルガーとは別のオケかと思うぐらい、気合の入った引き締まった演奏でしたので、アルゲリッチとの丁々発止が期待できるか、と思ったのですが、ピアノソロが入ってからはアルゲリッチの独壇場でした。
高関さんがアルゲリッチに自由にさせてそれをサポートする姿勢に徹したことも大きいと思いますが、それだけでは説明がつかない演奏でした。
ベートーヴェンの2番、コンチェルトの中でも大曲には属さないと思いますがアルゲリッチの手に掛かるとスケールの大きな大曲に聴こえてきます。
室内楽的な競演で演奏されることが多い曲だと思いますアルゲリッチは堂々とオケを先導しながら大家の趣で曲を進めてゆきます。
第1楽章のカデンツァも見事な演奏でした。
アンコール、演奏してくれる期待はしていませんでした。
4回目だか5回目だかにハンカチを持って登場したので、えっ、と思ったら直ぐに座り拍手の鳴り止まぬうちに演奏を始めてしまいました。
最初の2小節ぐらいは拍手とピアノの音が入り混じって聴こえてきました。
シューマンらしいというよりも、アルゲリッチらしいシューマンでした。
オケの演奏ですが、対抗配置で、Vnがそれぞれ8基、VaとVcが4基、Cbが2基でした。
管楽器はCl抜きで、Flが一人、Ob・Fg・Hrは二人ずつでした。
エルガーは曲調のせいか、今ひとつピンとこない演奏でした。
モーツァルトは力の入った良い演奏だったと思います。
ほぼほぼノンヴィブラートで高関さんが要所要所をてきぱきと見事な棒でさばき、メリハリが付きながらもモーツァルトの2曲しかない短調のシンフォニーの特徴を生かした素晴らしい演奏だったと思います。
指揮者の棒さばきの重要性を改めて感じる演奏でした。
有名な曲だけに安易に流れてしまいそうなところをぐっと手綱を引いて弛緩のない素晴らしい演奏でした。
Clを欠き、ティンパニがいない中でアンコールは何を演奏するのだろう?と曲目に思いを巡らせていましたが飛行機の時間の関係で確かめることもできないままホールを後にしました。
東京でもなかなか聴くことができないアルゲリッチ、大分に行けば毎年室内楽もコンチェルトも聴けるんですから垂涎以外の何者でもないなぁと羨ましさを感じたコンサートでした。