大野和士指揮、東京都交響楽団のコンサートに行ってきました。
ホールはミューザ川崎でした。
毎年恒例の、フェスタ サマー ミューザの一夜です。
今年は魅力を感じるプログラムがなく今夜の一回だけです。
プログラムは
プロコフィエフ バレエ音楽「シンデレラ」第一組曲
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
アンコールはありませんでした。
劇場を中心にキャリアを積み上げてきた大野和士、一方インバル、古くはベルティーニに鍛えられたコンサートオケの都響、これまでの方向性の違いから必ずしも指向が一致していない演奏が聴かれるとの評判でした。
バレエ音楽ではキャリアのミスマッチを感じることがないだろうと思いましたが必ずしもそうではありませんでした。
ドラマ性を際立たせて描こうとする大野さんと全体を見通して曲を組み立てようとするかの如きオケの演奏と、今ひとつ呼吸があっていないシンデレラでした。
一方ショスタコーヴィチは両者のやりた音楽が一致したのか素晴らしい演奏でした。
怪演というか、爆演というか、どちらが主導権を取るというではなく両者が相まって力強い演奏となりま
した。
正統派の堂々とした進め方で、テンポを動かしたり、ダイナミズムをつけたりなどという奇を衒った小細工はなく正面から押し切ってくる演奏でした。
第1楽章、第4楽章の力強さに比して第3楽章の弦の繊細さが際立っていました。
ショスタコの5番はブラ1などと並んでどんなに下手な演奏をしても最後は盛り上がる曲の典型ですがそれにしても凄まじいエンディングでした。
シンデレラに続いてタコ5でも打楽器群が目立っていました。
全曲を通して緊迫感で覆われ、研ぎ澄まされた音で迫ってきながらも、爆演と呼ぶにふさわしい力強さと迫力でグイグイと押しまくる演奏でした。
充実した、満足感の高い、素晴らしいタコ5でした。