アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートに行ってきました。
ホールは、サントリーホールでした。
バッティストーニは今一番聴きたい指揮者でした。
ハーディングが中堅と呼ばれる年代となり、ドゥダメルも若手と呼ぶにはギリギリの30代前半、そんな中で一番活きのいい20代の指揮者がバッティストーニだと思います。
イタリアが生んだトスカニーニ以来の・・・、などと言われると、アバドやシノーポリはどうなんだと言いたくなりますが、そこは宣伝文句と割り切って。
プログラムは
ヴェルディ 歌劇「運命の力」序曲
ラフマニノフ 5つの絵画的練習曲(レスピーギ編)
ムソルグスキー 展覧会の絵(ラヴェル編)
アンコールはありませんでした。
先ずは「運命の力」序曲。
ヴェルディの曲の中で一番沢山の回数生で聴いているのはこの曲かレクイエムかどちらかです。
興味津々の指揮者を初めて聴く曲としては最適だったと思います。
先ずは、全体をよく見通して、曲の細部まで研究を尽くして、全体感を見通した中で細部に拘わる、20代とは思えない、とても良く練られた演奏でした。
印象としては、計算しつくされたというよりも天性の感性のなせる技ではないかと思います。
冒頭の運命のテーマ、大変に素晴らしいTpでした。
今日一日を通して金管群は大変に素晴らしかったです。
弦楽器や、頑張りが目立った打楽器群の動きなどを目で追いながら、東フィルってこんなに上手だったっけ・・、と改めて感心をしました。
チョン・ミョンフンの時代は良く聴いていましたが最近は少し足が遠のき気味で、直近はいつだろうと調べたら昨年8月のエッティンガー以来1年以上振りでした。
少しの間聴いていないと印象が新鮮と言えば聞こえはいいのですが、その実力や音色・音の特徴を忘れてしまいます。
オープニング曲にも拘らず演奏終了後はブラボーの声も上がっていました。
中間部の歌うべきところは歌わせるオーソドックスな演奏スタイルでした。
しかし時折「おやっ?」と思わせるテンポの変化や日頃はよく聴こえない細部をわざと強調してみたりバッティストーニ独自の解釈を垣間見ることができました。
ゲネラルパウゼの使い方もとても上手だと思います。
やはり天性の素晴らしい感性の賜物だと思います。
休憩を挟んでの「展覧会の絵」も同様でした。
「古城」のラストのサキソフォンをあんなに長く引っ張るのは初めて聴きました。
全ての楽器の音が途絶えた後もディミヌエンドしながら吹き続けるサックスがとっても新鮮でした。
「キエフの大門」からエンディングにかけては圧巻でした。
特に本物の鐘を使っており、相当に重そうな鉄の玉で打ち、ホール中に鳴り響いていました。
担当した女性の打楽器奏者は演奏が終わると残響を消すために鐘に抱きついていました。
その姿がなんとも鐘が羨ましいというか微笑ましい姿でした。
一音一音テンポを踏ませてみたり、予想外のリットや思わぬディミヌエンド、所々でハッとさせながらも全体を通してはオーソドックスな「展覧会の絵」でした。
プロムナードを含め、1曲1曲を独立した曲としてエンディングまで丁寧に演奏しているのが印象的でした。
終演後万来の拍手がホールを埋め尽くしましたが、将来がとても楽しみな指揮者を聴くことができてとても満足なコンサートでした。