三ツ橋敬子指揮、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートに行ってきました。
ホールは、東京芸術劇場でした。
都民芸術フェスティバルの2回目です。
いつもは名ばかりの「19時開演」ですが今日はほぼ定刻通りに演奏がスタートしました。
定刻に演奏がスタートしたのなんていつ以来か記憶にありません。
余裕をもって会場に到着したつもりが、到着するや否や5分前のベルが鳴ってビックリしました。
仕事でギリギリになった時はルーズな開演時間がとても助かるのですが時間通りはとっても気持ちが良いです。
時間通り開演のコンサートが増えてくれると嬉しいなと思います。
プログラムは
グリンカ 歌劇「イヴァン・スサーニン」(皇帝にささげた命)序曲
リスト ピアノコンチェルト第1番(ソロ 田中正也)
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
アンコールはピアノソロでプロコフィエフの10の小品第7番前奏曲「ハープ」、弦楽合奏で「G線上のアリア」でした。
オケがステージに揃い最後に出てきたコンマスが川田知子さんだったのにビックリしました。
最近コンサートの回数が減って事情に疎くなってるなぁと改めて実感しました。
さて今日の演奏の出来の順番は、G線上のアリア → グリンカ → 悲愴の第4楽章 → ピアノアンコール、そしてその他大勢でした。
グリンカの序曲初めて聴きましたがドラマティックでとってもいい曲でした。
グリンカと言えば歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲しか演奏されませんが埋もれている良い曲が沢山あるんだなぁと思いました。
コンサートで頻繁に取り上げても受け入れられる曲だと思います。
序曲ですから10分程度ですしオケのレパートリーに加えておいて損のない曲だと思います。
初めて聴いた曲なので演奏云々は判りませんが、弦の音の素晴らしさが印象的でした。
先週のN響とはまた違った素晴らしさです。
N響はともすると優等生的上手さが見え隠れしあざとさを感じることがありますが、東フィルは純粋に音楽を楽しんでいる姿に見えます。
「悲愴」はそれを生かし切れていませんでした。
三ツ橋さんがオケをコントロール出来ていないのか、曲をコントロール出来ていないのか、その両方なのか、フォルテでオケの全楽器を鳴ると混沌として音楽になっていません。
縦が揃っていなかったり、楽器ごとの音量や音色のバランスが悪かったり。
コントラバスのピッチカートが強すぎる上に縦が揃っていなかった場面は酷かったです。
総じて金管群が酷かったです。
中でもTp、特にフォルテ以上の音量で吹く場面では荒っぽくてアンサンブルをぶち壊し音楽になっていませんでした。
指揮者の指示なのか、奏者が下手なのかは判りませんが、弦楽器のレベルの高さとの落差が大きかったです。
第1楽章も遅めのテンポで初めて主題に至るまでは良かったのですが展開部に入って金管が登場すると途端に崩壊してしまいました。
第2楽章も大人しく弦楽を中心に演奏しているときは良いのですが・・。
ピアノの田中正也氏、出だしはガラスのような繊細さを持った透明感高い響きだなと思ったのですが高音域の音が固く、響きません。
中音域から低音域にかけてと高音域の統一感のない音のギャップが目立ち今一でした。
ただアンコールは固い高音がアクセントの役割をして楽しめる演奏でした。
全体的にもう少し滔々とした豊かに響きを身につけないと先々厳しそうだなぁと感じさせられる演奏でした。
アンコールに「G線上のアリア」が来るとは思いませんでした。
暗く沈んで終わりますからアンコールには「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」から派手目な曲かなと予想していましたので意外な選曲に感じました。
しかし、聴き始めてみれば、どん底のような終わり方をした曲の後で救われたような気分になりました。
また東フィルの弦楽器の響きが素晴らしく心洗われるアンコールでした。
がっかりも沢山ありましたが最後に救われたコンサートでした。